2014/05/28

地獄の鬼がまはす車のやうに


GR21/Tri-x




















先日法事があった。
親族のなかでも何ごともなく行く人や行きたくても行けない人、
そこでどうしたって義理不義理という感覚が生まれるもので
少なくともそこまで行った僕は一応の故人への義理を果たしたと思っていた。

法事の後には親族での食事会があることは聞いていた。
けれど僕は仕事の途中で抜けてきたのですぐに戻らなくてはいけない。
当然のように、まあまあ少しくらい良いじゃないか久しぶりなんだし話でもしようじゃないかと
親戚からしつこく声がかかるのだが、何度もやんわりとそれを断ると
やがて彼らの表情にはあきらめというよりは付き合いの悪いやつだ、というような
なんともいえない落胆のニュアンスを含んだ表情が浮かんでいた。

結局なんとか断り慣れない大阪の町を駅まで歩いた。
しかしなんだろう、果たしたはずの義理はそこでまた失われたかのようになってしまった。
胸に残ったのはこの法事へ来なかった場合よりもなお不義理なことをしたかのような罪悪感だ。
























引き留められるままま会食をしてゆけばそんなことを思うこともなかったのかもしれないが
ただ本当に仕事は待っていたし、そうしたところでその親族との共通の話題を殆ど持ち合わせない僕は
きっと弾まない会話か、もしくはぽつねんと孤立した席で食事をすすめたことだろう。
そしてその帰り道にはこの罪悪感よりも、もっと大きなもやっとしたものが残ったかもしれない。

礼服の中にGRを入れていった。フィルムはトライX。
往きに撮ったのは5枚。のこり31枚は帰りの天満駅で全部撮った。
駅まわりの猥雑さとは裏腹になんだか虚ろな空気が映っていたよ。



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