2025/03/11

夜行列車の車窓から

 
北斗星

いっとき冬の北海道を3~4日、キャンピングカーでぐるぐるまわる旅を毎年していた。
最初は只のレンタカーだったのが、2008年頃にトヨタレンタカーのホームページをみてると
OFFシーズンの冬はキャンピングカーが格安でレンタルされてることを知り
それからキャンピングカーの旅になった。
今では信じられないがバンコンタイプが1泊9000円でレンタルできたのだ。

その北海道への往復はいつも飛行機で、中部国際空港から千歳へと飛んでいたのだけど
2010年のそのいつもの冬の旅が終わる頃、帰りの飛行機のチケットが取れてないことに気付いた。
よくやりがちな「予約はしたけど入金をし忘れた」というやつ。

キャンピングカーを返却するまであと1日。まだ函館を走っていたとき、
帰りをどうしようかと思案していてふと思ったのが夜行列車だった。
函館駅に行ってみどりの窓口で、北斗星の空席を聞いてみるとガラガラ。
そう、ガラガラだったんだよ。前日の状態で。

なのでB寝台の2段寝台を3人分取って翌日無事乗車したときも、あと1席には誰も来ず…どころか
ほかの寝台もほとんど乗ってなかったと思う。

北海道からの夜行列車に乗ったのはその時が初めてで
3人で酒を飲んだり寝たり起きたり存分に楽しんだ。

夜が明けて、朝食を食べに3人ボサボサの格好でグランシャリオに行った。
昨夜の酒が残って3人とも黙ってもさもさと朝食をいただいていたとき
福島の駅に列車はすべりこんでいった。

福島県という場所に北野はその時が初めてだった。
見える景色に特別感はなく、どこにでもある田舎だなあ思ってホームをみていた。

やがて列車は静かに発車して僕らは朝食を終えてまた部屋にもどっていったのだけど
その翌年にあの震災があった。

福島はたいへんなことになって、あの駅にも行けなくなるんだろうか、なんて
テレビをみながらぼんやりと思ってた。

実際は福島駅のある東北本線と原発事故で通れなくなった常磐線とは
全然関係ないのだけど僕の中でそれくらい”知らない土地”だった。

僕の中の福島県はその記憶だけで、まったくそれだけしかないのに
あのどこにでもあるような土地がそんな大変なことに、という
なんだかよくわからない衝撃をずっとあの日からしばらく引きずっていた。


福島県はまだあれ以来行ったことがない。海の方も山の方も。
いつか行こうと思う。


GR21/p3200

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