FM3A+Planar T* 1.4/50 ZF.2 Tri-x |
もう17、8年ほど前になろうかという昔。
僕はオヤジのお供で岐阜から秋田県の酒田市まで行くことになった。
まだ20代前半だった僕はナニモノでもなく、かといって夢に向かって一直線ともなれず
仕事もバイトをしてるようなしてないようなもやもやとした生活をしていた頃だ。
酒田市へ行く理由は琵琶の演奏会とその関係者との交流を兼ねてだったと思う。
(うちの祖父と親父は薩摩琵琶というのをやっていてその頃僕も多少一緒に習い事としてやっていた)
電車好きで飛行機嫌いの僕を思ってか、酒田までは陸路で行くことになった。
しかし季節は真冬。
ちょうど強烈な寒気団が本州を襲ってJRのダイヤも乱れまくり。
東海道新幹線で東京までは順調に進んだのだけどその先は見通しが立たず。
そんな状況でごった返すみどりの窓口にオヤジは並んで払い戻しだとかここから先の切符と運行状況だとか
そういった色んな交渉をしているようにみえた。
ーようにみえた、というのはすでにそのときみどりの窓口の入り口の側でうずくまること2~3時間。
先の見えない旅はそれだけで既に僕を疲れさせはじめていて、
もっと正確に言うと気力が萎えたとでも言うのか、もう半分どうでもよくなっていた。
このまま帰ろう、と言われれば素直に従っていただろう。
おおきな柱にもたれかかって寝てしまいそうになった頃、ようやく切符を購入しなおした親父が戻ってきた。
それはもちろん岐阜へ帰ろうとなどというものではなく、北へ向かう切符だった。
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